皆さんこんにちは。Karinです。
今週もまた私のお仕事ピラティスのお話です。どうぞお付き合いくださいませ。
以前の投稿「リフォーマーブームの今こそ知ってほしい、ピラティスの本当の意味」では、ジョセフ・ピラティスがどのようにピラティスというメソッドを生み出したのかをご紹介しました。今回はその続きです。ジョセフ・ピラティスが亡くなった後、ピラティスがどのように受け継がれ、現在のさまざまな流派へとつながっていったのかについてお話ししたいと思います。
実は、現在世界中で行われている「ピラティス」は、すべて同じものではありません。
ジョセフ・ピラティスが亡くなった後、彼のもとで学んだ弟子たちは、それぞれの場所でピラティスを教え続けました。そして、その次の世代も学んだことを受け継ぎながら、独自の指導法や教育システムを発展させていきました。
では、いったいどこからどこまでがジョセフ・ピラティスのメソッドなのでしょうか?
ジョセフ・ピラティスは1967年に亡くなりました。しかし、彼のメソッドがそこで途絶えたわけではありません。ジョセフと妻のクララから直接学んだ第一世代の教師たちは、一般に「ピラティス・エルダーズ(Pilates Elders)」と呼ばれています。彼らはジョセフのもとで学んだことを、それぞれの経験や専門分野を生かしながら次の世代へと伝えていきました。
ここで、ピラティスの歴史を語るうえで重要な教師たちを何人かご紹介します。
若いダンサーだったロマーナは、振付家ジョージ・バランシン(George Balanchine)の紹介でジョセフ・ピラティスのスタジオを訪れ、ジョセフとクララのもとで学びます。ジョセフの死後、クララの引退を経てスタジオの運営を引き継ぎ、クラシカル・ピラティスの継承に大きな役割を果たしました。
マーサ・グラハム(Martha Graham)のダンスカンパニーで活動したロンは、慢性的な膝の問題をきっかけにジョセフと出会い、1940年代後半からジョセフとクララのもとで学びました。1970年代にはロサンゼルスでスタジオを開き、ダンスの経験を生かしながら、ジョセフから学んだことを土台に独自の指導法を発展させました。
ダンサーとして活動し、膝のけがをきっかけにピラティスを学びました。ジョセフ本人の指導のもとで教えることを認められた、数少ない人物の一人として知られています。彼女の指導では、決められた動きを一律に行わせるのではなく、一人ひとりの身体を観察し、その人に合った動きを探ることが大切にされていました。
振付家ハニャ・ホルム(Hanya Holm)のダンスカンパニーで活動していたイヴは、1930年代後半からジョセフに学びました。自身が乳房切除術を受けた後も、身体の動きや回復にピラティスを活用したことで知られています。彼女の歩みは、ピラティスがダンサーのための身体づくりにとどまらず、一人ひとりの身体の状態に向き合う方法としても発展してきたことを考えるうえで重要です。
ヨーロッパで活動していたカローラは、ナチス政権下の迫害を逃れてアメリカへ移りました。その後、整形外科医ヘンリー・ジョーダン(Henry Jordan)の紹介でジョセフ・ピラティスと出会い、彼の指導を受けます。1960年には、ジョセフの許可を得て自身のスタジオを開きました。
ダンスやバレエを学んでいたロリータは、膝のけがをきっかけにカローラ・トリアーのスタジオでピラティスを始めました。その後、ジョセフ本人からも学び、本人から教えることを認められた二人のうちの一人として知られています。のちにプエルトリコでダンスカンパニーを設立し、ダンサーの育成にもピラティスを取り入れました。
メアリーは1959年からジョセフとクララのスタジオに通い、約6年半にわたって学びました。その後もロマーナ・クリザノウスカ、キャシー・スタンフォード・グラントなどらから学び続けています。心理学のバックグラウンドを生かし、身体の動きと心のあり方を関連づけた「Pilates Plus Psyche」というアプローチを発展させました。
このほかにも、ジョセフ・ピラティスから直接学び、その後のピラティスの発展に影響を与えた教師たちがいます。
こうして何人かの教師の歩みを見てみると、興味深いことが分かります。
彼らは同じジョセフ・ピラティスから学んでいても、その後の活動はさまざまでした。伝統的なエクササイズや指導方法を大切に受け継いだ人もいれば、ダンスや身体教育など、自分が持っていた専門知識や経験を生かして独自のアプローチを発展させた人もいます。
もちろん、ジョセフから学んだことを大切にする姿勢と、新しい考え方を取り入れることは、必ずしも相反するものではありません。こうした違いが次の世代にも受け継がれ、現在のさまざまなピラティスの流派や教育システムにつながっていきました。
ピラティスについて調べていると、「クラシカル・ピラティス(Classical Pilates)」と「コンテンポラリー・ピラティス(Contemporary Pilates)」という言葉を目にすることがあります。簡単にいうと、クラシカル・ピラティスは、ジョセフ・ピラティスが伝えたエクササイズの構成や順番、器具の使い方などを重視するスタイルです。一方、コンテンポラリー・ピラティスは、ピラティスの基本的な考え方を土台にしながら、現代の解剖学や運動科学などの知見を取り入れて発展したスタイルを指すことが多いです。
ただし、この二つを完全に分けられるわけではありません。定義は教育機関によっても異なりますし、現代の知見を取り入れているからといって、伝統的なメソッドを大切にしていないということでもありません。私が大切だと思うのは、どちらが正しいかを決めることではなく、それぞれが何を大切にしているのかを知ることです。同じエクササイズでも、指導者によって動きの説明や身体の観察の仕方、エクササイズを選ぶ基準が違うことがあります。その背景には、どのような先生から学び、どんな教育を受けてきたのかという違いも関係しています。ピラティスを学んだり、レッスンを受けたりするときに、こうした背景を知っておくと、指導者による違いも少し理解しやすくなるのではないでしょうか。
ジョセフ・ピラティスが亡くなった後、弟子たちがメソッドを受け継ぎ、それぞれの道を歩んできたことが、現在のピラティスの多様性につながっています。では、現在よく知られているピラティスの流派や教育機関には、どのようなものがあるのでしょうか? 次回は、世界の代表的なピラティスの系統や教育機関を取り上げ、それぞれの歴史的なつながりや特徴をご紹介したいと思います。お楽しみに!!


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